大金星物語

2016年夏。
三田市に麺屋 大金星がオープンした。

店主は2代目「谷やん」。
東大阪の高井田系ラーメンのなかでひときわ輝いた初代の看板を引き継いだ。

『人生って本当色々あるから やっぱり どうしてもやりたいことやりたい そしてラーメン屋を始めた』
(かりゆし58 大金星より)

初代は沖縄出身の人気ロックバンド「かりゆし58」の歌のモチーフとなった名店。
2012年3月に大阪・布施でオープンした「初代」麺屋 大金星。
実は店舗は2ヶ月前から借りていたが、
初代店主のこだわりが強く、納得のいくスープが完成しなかったため、オープンしていなかった。

それまでの2年以上も仕事をしながらありとあらゆるスープを試作しては失敗を繰り返していた。
まったくの異業種からのラーメン屋挑戦。
それでも美味いものを作る自信はあった。

美味しいと言われるものは全て試食し、良いと言われるレシピは全て試した。
肉屋さんに頼み込んで、他のラーメン屋に卸している部位を内緒で聞いたりもした。

完成間際までは近づいたが、どうしても物足りない日々が続いたある日、夢である野菜が出てきた。
半信半疑で使ってみたら求めていた味に。一気に完成に近づいた。

ようやくオープンにこぎつけたが、一切宣伝はしていない。
初めてのお客さんは近所のおばあちゃん。開店祝いの花をもらいにやってきた。

2ヶ月目で行列ができた。
行列がまた行列を呼び一気に評判の店になった。

3ヶ月、4ヶ月と経つと週に何回も来てくれる常連さんができた。
「いらっしゃいませ」が「あ、こんにちわ」に変わってきた。

これで食べていける、もう会社勤めしなくいていいのかな、とおぼろげに思った。

でも美味いものをお出しするにはとてつもない苦労がある。
納得できるスープが仕込めなかったときは店を閉めた。
開店して30分で店を閉めたこともあった。
店のメニューが少ないのは注力しているから。
麺の硬さが選べないのは、素材の配合を知り尽くした店主がベストの状態でお出ししているから。

仕込みは10時間かかる。スープはもちろん、チャーシューのたれ、麻油まで店で手作りしているので、いつまで出来るんかな?という思いもあった。

また、東大阪で評判の店になったが、なんとなく張り合いのない日々が続いた。

そんなときに事故にあった。
体が動かなくなって仕込みができなくなった。

やめよっかな…。もったいないけどな…。

店をリニューアルしたときに開店祝いでソファーを送ってくれたオモロイおっさんに相談する機会があった。

おっさんは新三田に閉店したての店があると言ってきた。
見せてもらって驚いた。中華コンロ、食洗機、立派な調理器具に備品。

こんなんもったいないがな…。

意見が一致した。
東大阪の伝説を三田市で継いでもらうことになった。

2代目の店主は「谷やん」。
もともとは中華料理の熟練の職人さん。

自分より包丁さばきも鍋振りも上手な弟子。
それでもその年上の弟子には厳しくあたった。

自分が作り上げてきたものを軽く見てほしくない。
常連さんの舌はごまかせない。一切の妥協はしない。

一ヶ月間、毎日布施から三田市まで通った。
仕入れ、仕込みから調理、お客様にお出しする瞬間まで全身全霊で集中させた。

自分はこれで次のステップに進める。
これからは三田市で新しい伝説を作って欲しい。
谷やんならできるで。「初心」を忘れんとがんばりや。
泣かされたあの日のことを思い出しや。

お客様
美味しくご飯をいただくには環境が大事なんやと思います。
良い環境作りを大切にしていきたいと思います。